今回こそは立派な鎌を作ってみせると息巻いてわたしは以前失敗した鎌を取り出した。

4代目は塗装ではなく黒のカッティングシートを貼ってみたわけだが工作用紙の継ぎ目が丸見えな上にとにかく見た目がちゃちぃ。
軽量化を図るため工作用紙の間に挟んだのが発泡スチロールなところも容易に風でバキッていくし、ちょっと先が当たっただけで折れるという実用性も劣る品だ。

ただこの4代目の土台になっている部分は使えるので再利用する。
ボンドでくっつけたのでズボッと抜ける。

ちなみにこの土台の太い部分は床に敷くジョイントマットの表面を引っ剥がしたものを塩ビ管にくるっと巻いたものだ。
塩ビ管ごと刃を差し込むための穴を開けている。

さて刃を作ろう。
武器造形の解説サイトでは園芸棒を曲げたものを芯材にして工作用紙を貼り合わせるようなことが書いてあったりするがそれだけではぺらっぺらなので、園芸棒は使わず工作用紙の間に芯材を仕込む。
間に仕込むのは初代鎌で何だかんだなかなかの強度を誇った色紙だ。
工作用紙を刃の形に切ってから、色紙も形に合わせて切っていく。

工作用紙よりも内側をやや小さめに切ると貼り合わせたときにより刃らしくなる。

色紙とはいえ所詮紙なので、先端が折れやすい(初代はすぐ折れた)。

そのため、先端の補強として1mmのアクリル板を加工したものを仕込んで芯材は完成だ。
その分厚みが出てしまい刃物らしさが失われるが長く使うことを重視して薄さよりも頑丈さを選んだ。
工作用紙との貼り合わせにはスプレー糊を使用。
工作用紙の継ぎ目をいかに目立たなく接着するかがポイントだ。
刃の背部分が工作用紙と色紙が剥き出しなのでここも細い工作用紙を貼り付けてきれいに整える。この部分の貼り付けはボンドG17を使う。
ボンドD17をつけて先程の土台に奥まで差し込み完全乾燥を待ったら次は塗装だ。

ちなみに作り始めたのが8月の半ば、クソ暑い時期である。ベランダに日陰はほとんどない。
わたしは暑い方が早く乾くだろうくらいに思っていたが全くの逆だった。
少し調べればわかることなのだが炎天下でラッカー塗装がまともに乾くわけがないのである。
何度噴いても乾燥させると謎の気泡?ブツブツ?ができてしまい綺麗に塗装できない上にどれだけ日数乾燥させても裏面の塗装をしようと表面を下にすると床の跡が表面についたり、ひどいと床に塗料がくっついてしまう。
その原因が暑さだと気づいたときにはすでに5本のラッカースプレーを消費していた。
ちなみにラッカースプレーは1本1000円くらいである。
なぜ失敗するのか検索をしてようやく原因が暑さだと分かってから、大鎌作りは一旦中座することにした。
それから4ヶ月経って季節は冬である。
全天候型塗装ブースも用意していよいよ塗装を仕上げる時が来た。
まずは夏に塗装してガッタガタになった面を綺麗にやすりがけするところからである。
これが本当に地味にクソ時間がかかった。
夏に塗装なんてするもんじゃないマジで。

夏の後処理をリカバリーするのにどれだけ時間がかかったことか。
紙やすりも5cm四方程度に切ったもので念入りに塗装してはやすりがけを続けて、いいかげんもう疲れたよ……というところで妥協したので完全に綺麗な面にはなっていないが、まあ素人が完璧を目指してもキリがない。
刃のグレー部分も最初はスプレーでグラデをつけようとしたが、黒い部分に塗料が散りすぎる→黒を拭き直す→またグレーを……と終わらない戦いじみてきたので、最終的には紙皿に塗料を出して小さく切った台所用スポンジにつけてトントンと塗っていった。
黒はマットブラック、グレーはスチールグレーという色を使っている。
片面を仕上げたらたっぷり2日かけて乾燥させてから裏面に取り掛かる。
今まで完全に塗装が完全に乾いていなかったが故の悲劇を繰り返してきたのでそこは慎重にやった。
両面共に綺麗に塗装が終わったら造形トップを2回塗って刃は完成だ。

ここに初代で使っていた持ち手をジョイントする。
ジョイントするための木は塗装の途中で差し込んである。(忘れてた)
この木にジョイント時に固定するための穴を電動ドライバーで空けておく。

穴を開けたらカスを取り除いて針金を入れてみる。

組み立てが終わって完成である。
ちなみに組み立て後の重さは1kgだった。

騙し騙し使ってきた初代とお別れの時だ。
その前に新旧比較。

時間をかけただけのことはあって頑丈で見た目もまあまあな出来になった。
まあ、時間がかかったのは炎天下に無駄な工程を踏んでしまったせいもあるが。
ちなみに2代目は工作用紙でなくコスボード1.5mmで作ってみて形状安定と耐久性に難あり没。
3代目はDAISOの黒いボードを使用してみてやはり耐久性に難あり没。
4代目は見た感じは上手くいったように思えたが塗装ではなくシート貼りにしたこととやはり耐久性に難あり没。
と、色々やってみて初代の作り方が一番よきと原点復帰し今回の5代目に至る。
なお鎌の刃の付け根部分と刃の接着方法に関しては、初代は塩ビ管にコスボード5mmを巻いて刃を挟んだだけなので実は非常に脆い構造だった。
使う出番が少なかったことが幸いしてその部分が破損することはなかったが今思うとゾッとする固定方法だ。
塩ビ管もろとも穴を開けて刃を差し込むことで固定、安定させる手法に至ったのは4代目だったのでここまでの試行錯誤も無駄ではなかったと思いたい。
というわけで武器造形試行錯誤編でした。
よいこのみんなは同じ失敗するなよな!
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